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2025年(令和7年)11月全国繊維業者の倒産(負債額1000万円以上=整理・内整理含む)は31件で、前月比は5件(13.9%)減、前年同月比では13件(72.2%)増となった。
負債総額は61億4600万円で、前月比では69億6300万円(53.1%)減、前年同月比では26億2800万円(74.7%)の増となった。
負債額10億円以上の倒産は、TM㈱(旧商号㈱スポーツ館ミツハシ、奈良市、スポーツ用品小売、負債額14億円)、稲山織物㈱(福井県大野市、合繊広幅織物製造、負債額10億3000万円)の2社、5億円以上は0件で、3億円以上も4件にととどまった。負債額1億円以下の零細小売店の破たんが目立ち、末端の消費不況や大手チェーン・ネット通販などのシェアが高まっていることが伺える。
TM㈱は、明治創業の老舗のスポーツ用品店として関西地区に多店舗展開し、2003/6期には年商67億7100万円を計上していた。しかし、その後は大手チェーンとの競合などから減収に歯止めが掛からず、収益面も低調化。このため、2023年10月スポンサー企業が出資する新会社に事業譲渡、その後解散を決議していたところ、債務整理のため、特別清算を申請していた。
稲山織物㈱は、地区古参のポリエステル織物専業メーカーで、スポーツ衣料・ユニホーム向けの機能性素材、婦人服向けの薄地生地などを扱い、大手合繊メーカーの協力工場として、大野市内に複数の生産拠点を構築し、1993/3期には年商約28億5500万円を計上していた。
しかし、以降は取引先の海外生産シフトなどから減収傾向が続き、コロナ禍ではさらに業績が落ち込み、2021/3期は売上も2億円まで低下。原材料価格や生産コストの上昇から採算面は厳しく多忙な繰り回しが続く中、遂に事業継続を断念した。
高市新政権は21.3兆円規模の総合経済対策を決定、これを受け円安が進み一時は10ヶ月振りに157円台となり、インフレ加速が懸念される中、外交では対中関係の悪化により中国政府が自国民に日本への渡航自粛を求めたことで、今後都心部の百貨店を中心にインバウンド需要が落ち込む可能性もある。
繊維業界は秋物が不振であったが、当月に入り急速に冷え込んだことで、アウターなどを中心に冬物商品が活発化。しかし、企業業績全体の底上げには至っていない。定着しつつあるブラックフライデーは年々過熱し、全体的には好調を維持しているものの、消費の先食いとの指摘もあり、年末商戦への影響も懸念される。また、配送需要の増加で人手不足に苦しむ物流業界は商品遅配などの悪影響も出ている。
今年度は1~11月中、2、3月を除き倒産件数は前年を上回り、中小・零細企業の不況型倒産が大半を占めている状態で、コストの増加は今後も払しょくされず、収益体質が改善されていない企業の破たんは続くものと見られる。
業種別では「小売商」14件、「紳士・婦人・子供服・被服製造卸」6件、「ニット製品・洋品雑貨製造卸」4件、「染色整理・特殊加工」「織物製造」各2件、「呉服・和装製品製造卸」「寝具・インテリア製品製造卸」「その他」各1件。
原因別では「業績ジリ貧」28件で90.3%を占め、「業況急変」2件、「資金力薄弱」1件。
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